リフォームで自宅サロンを開業する際のポイントとは？費用や注意点も解説

居住空間と店舗スペースを区別しづらい自宅サロンでお客様に癒しを提供するためには、店舗スペースの生活感をなくすことが欠かせません。自宅サロンの生活感をなくす方法の1つとして、リフォームが挙げられます。

今回のコラムでは、リフォームで自宅サロンを開業する際のポイントを解説していきます。リフォームの費用や実施する際の注意点についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

自宅サロンを開業するメリット

自宅サロンを開業するメリットとして、以下の2点が挙げられます。

• 開業資金・ランニングコストを抑えられる
• 自分のペースで稼働できる

新しくテナントや賃貸物件などを契約する場合とは異なり、自宅サロンを開業する際には物件を取得する必要がありません。家賃の支払いも不要であることから、初期費用やランニングコストを大幅に抑えることができます。

さらに、自宅=店舗であるため通勤時間が発生しない、空き時間に子どもの面倒を見たり家事をこなしたりできるといった利点もあります。完全予約制で施術を行えば、ライフスタイルに合わせて稼働することも可能です。

事業を始める際のハードルが低いことは、自宅サロンを開業する上で大きなメリットだと言えます。

自宅サロンを開業するデメリット

自宅を店舗として活用すると、日常生活と仕事を区別しづらいのが大きな難点です。

お客様が快適に施術を受けられるよう施術スペースや待合室の整備に力を入れることで、居住空間が窮屈になってしまうケースも考えられます。プライベートに支障が出ないよう、導線や間取りには十分な配慮が必要です。

最も注意したいのが、店内の生活感を徹底的に隠す必要があることです。店内が以下のように住人の生活を想起させる状態だと、日々の疲れを癒したり非現実感を得たりしたいお客様の気分を下げてしまうでしょう。

• 玄関に家族の上着・靴・傘が置いてある
• 食事のにおいが残っている
• 家族の会話・テレビや洗濯機の音が聞こえる

自宅サロンから生活感を隠すために内装や外観を整備する方法は、いくつか挙げられます。その中でも今回はリフォームに注目して、工事の内訳やコツを詳しく解説していきます。

自宅サロンのリフォーム工事の内訳

サロン開業を見据えて自宅のリフォーム工事を行う場合、その内訳は以下のようになります。

• 設備工事
• インフラ工事
• 内外装の工事 　

設備工事

• 施術スペースを仕切るドア・パーテーション
• 受付カウンター

経営するサロンの規模によって異なりますが、施術を行うためには、主に上記のような設備を取り付ける工事が必要です。導入する設備の質や工事の内容によって、必要な費用は大きく変わってきます。

限られた資金でサロンを経営できる体制を整えるためには、こうした設備を導入する際に費やす予算をあらかじめ決めておくべきです。お客様が必ず立ち寄る受付カウンターのように、顧客満足度に大きく影響するものから順に予算を割り振ると良いでしょう。 　

インフラ工事

美容サロンを経営しようと思うと、もともと自宅に備わっているインフラだけでは不十分であることがほとんどです。以下のような工事が必要になるでしょう。

• コンセントの増設
• インターネット回線の整備
• 空調設備の増設
• 電気容量の変更
• 給排水設備の増設

施術室で美容機器を動かすためには、コンセントの増設が必須となることが多いです。電子カルテを閲覧したりお客様が待ち時間にスマートフォンを利用したりする際に不都合が生じるのを避けるため、強力なインターネット回線の確保も欠かせません。

出力の強い美容機器や空調を同時に複数稼働させることを考えると、電気容量は大きくしておく方が良いでしょう。生活感を隠すために住人とお客様が使用するトイレを分けようと思うと、追加の給排水設備が必須です。

このように、インフラ工事はお客様が快適に施術を受けたり、サロン運営をスムーズに進めたりする上で欠かせません。美容サロンの開業準備の中でも優先度の高い項目であるため、出し惜しみせず資金を費やしましょう。 　

内外装の工事

自宅サロンの生活感をなくす上で、内外装工事は非常に重要です。内装であれば床や壁のリフォームやインテリアの設置、外装であれば看板の設置や庭の整備などを通して、一般的なサロンに劣らないおしゃれな空間作りが求められます。

内外装の工事をする上で忘れてはいけないのが、防音工事です。施術中に近隣のけたたましい工事音や自宅で子どもが騒ぐ声などが聞こえると、お客様が思うようにくつろげない可能性があります。

外からの音を防ぐために壁に遮音シートを設置する、自宅の生活音が気にならないよう床に防振材を設置するといった工事を必要に応じて実施しましょう。

内装や外装をリフォームする際の具体的なポイントについては、この後詳しく解説します。

サロン空間と居住空間を区別してリフォームするには

店舗を構えるエステサロンと比べても遜色ない、お客様に特別感を提供できる空間を作り出すためには、以下の2点を意識することが大切です。

• お客様・スタッフと住人の動線を分ける
• サロンのコンセプトを反映させる 　

お客様・スタッフと住人の動線を分ける

繰り返しになりますが、自宅サロンでお客様が施術に集中できる環境を提供するためには、住人のプライベートを想起させないための配慮が欠かせません。生活感をなくす最善の方法は、お客様やスタッフと住人の動線をはっきりと区別することです。

• お客様・スタッフ用のトイレと住人用のトイレを分ける
• 入口が2つある場合はお客様専用の玄関を設ける
• 店舗スペースは玄関の近くに・居住空間は玄関から遠い奥側に配置する

上記のような工夫を取り入れて、お客様が施術やカウンセリングに集中できる空間作りを目指してみてください。実際に店舗スペースを移動して、住人の生活が垣間見える瞬間がないかどうかを確かめると良いでしょう。 　

サロンのコンセプトを反映させる

狙った客層を確実に集客するためには、サロンのコンセプトに合った雰囲気作りが欠かせません。内外装をコンセプトに合わせることで、ターゲットが快適に過ごせる空間を作り、満足度の向上やリピート率の改善も狙えます。

コンセプトに合わせるという1つの明確な基準を設けておくと、リフォームの方針や導入するアイテムに関する判断に迷った際の指針になってくれます。内外装全体に統一感が生まれやすくなるでしょう。

自宅サロンのリフォーム業者選びのコツ

リフォームを依頼する業者選びは、自宅サロンのリフォームの成功を大きく左右します。以下の2点を意識して業者を選定しましょう。

• 美容サロンの施工実績が豊富な業者を選ぶ
• 複数の業者から見積もりを取る 　

美容サロンの施工実績が豊富な業者を選ぶ

一口にリフォーム業者といっても、工事のクオリティや得意とする分野は様々です。レベルの低い業者を選んでしまうと、高度な技術が求められる工事を断られるといったケースが考えられ、当初の希望とは大きく異なる仕上がりになってしまうかもしれません。

美容サロンの施工実績が豊富な業者を選ぶと、複雑な間取りの整備や装飾を必要最低限の価格で引き受けてもらえる可能性が高いです。より多くのこだわりを詰め込んだ、理想のサロンに近づけるでしょう。 　

複数の業者から見積もりを取る

自宅サロンをリフォームする際の予算は、坪単価でおよそ10～30万円だと言われています。しかし、これはあくまで目安であり、複数の業者から見積もりを取る方がより正確な相場を把握することが可能です。

見積もりの際にはスタッフと直接顔を合わせて話せるため、契約前にスタッフのマナーや態度を見て業者の質を確かめられるのも嬉しいポイントだと言えます。

自宅サロンをリフォームする際の注意点

サロンで行う施術によっては、保健所に届け出て営業許可をもらうことが必須となる場合があります。

まつ毛エクステや眉毛カットなど国家資格が必要な施術を行う場合は、保健所に必要書類を提出し、所定の基準を満たしているかどうかを確かめる検査を受けなければなりません。

• 施術スペースと待ち時間用のスペースを明確に区別する
• 床や壁には液体が浸透しない材質（コンクリートや合成樹脂など）を使用する
• 施術スペースの床面積は13㎡以上確保する

保健所が定める基準の中には、店内の設備に関する上記のような項目もあります。リフォーム工事に着手する前に、想定している店内の間取りがこうした基準を満たしていることを確かめておきましょう。

リフォームを終えてから基準を満たしていないことが発覚してしまうと、工事のやり直しを求められるかもしれません。リフォーム工事を実施することが決まった時点で、必要な設備や条件について一度保健所に問い合わせてみることをおすすめします。

快適に利用できるよう間取りを検討しよう

自宅サロンのリフォーム工事を行う際には、生活感を出さない、保健所が定める基準を満たすといった多くのポイントを意識しなければなりません。理想のサロン作りを予算内で実現することは難しい場合が多く、どこかで妥協が求められることもあります。

決断に迷ったら、お客様やスタッフ、住人が快適に利用できるかどうかを基準にしてみてください。店舗として使用する空間と居住スペースの両方を使う人にとって過ごしやすい空間にすることが、自宅でのサロン経営をスムーズに行うための近道です。